
夜間や屋内でドローンを飛行させたいとき、「許可が必要なのか」「どんな条件を満たせばよいのか」と疑問に思う方は多いはずです。この記事では、航空法上の許可・承認の要件から、夜間・屋内飛行ならではの活用事例まで、実務担当者が押さえるべきポイントを整理します。
夜間飛行・屋内飛行とは何か
航空法では、日の出から日没までの時間帯を「日中」と定義しており、それ以外(日没後〜日の出前)に行うドローン飛行を夜間飛行と呼びます。一方、屋内飛行は建物や構造物の内部で行う飛行を指し、航空法の適用範囲外となるケースがほとんどです。
ただし「屋内だから何でもOK」というわけではありません。施設管理者の許可取得や安全管理体制の整備は不可欠です。
夜間飛行に必要な許可・承認(航空法)
夜間飛行は、航空法第132条の86第2項第1号で規制される飛行方法の一つに該当します。特定飛行の定義は、第132条の85(飛行空域)と第132条の86(飛行方法)の組み合わせで整理されています。第一種・第二種の区分に関わらず、夜間に飛行する場合は以下の対応が必要です。
● 国土交通省への飛行許可・承認の申請
- 申請先:国土交通省(DIPS 2.0システム経由)
- 申請区分:飛行形態の承認(夜間飛行)
- 提出期限の目安:飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに、不備のない申請書を提出する必要があります(審査自体は簡易な案件であれば数日で完了することもあります)
● 技能証明(国家資格)との関係
国家資格(技能証明)は、夜間飛行の必須条件ではありません。無資格であっても、DIPS 2.0から個別に許可・承認申請を行えば夜間飛行は可能です。
技能証明の正しい位置づけは「手続きの簡略化」です。二等以上の技能証明+夜間限定解除+第二種以上の機体認証を持っていれば、個別の許可・承認申請を省略して飛行できます。資格がなければ飛べないのではなく、資格があれば申請が不要になる、という理解が正確です。
● 機体認証との組み合わせ
リスクの高い飛行環境では、機体の第一種型式認証または個別機体認証も必要となる場合があります。機体・操縦者・飛行計画の三点が揃って初めて、適法な夜間飛行が実現します。
夜間飛行の安全要件(実務上のポイント)
許可取得後も、以下の安全対策を講じることが求められます。
- 灯火の装備:航空局標準マニュアルにより、夜間飛行時は機体の向きを視認できる灯火を装備した機体を使用することが求められています(色・種類を指定する規定はありません)。
- 視認性の確保:飛行中は常に機体を視認できる状態を保つことが原則です(目視外承認を別途取得している場合を除く)。
- 飛行前点検の強化:暗所では地面の状況確認が難しくなるため、日中より念入りな事前点検が必要です。
- 気象条件の把握:夜間は風速・視程の変化を目視で確認しにくいため、気象データの事前取得と継続的なモニタリングが重要です。
屋内飛行のルールと注意点
屋内(展示ホール・工場・体育館・倉庫など)での飛行は、航空法の「空域規制」の対象外となるため、国土交通省への許可申請は原則不要です。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 施設管理者の許可取得:建物の所有者・管理者から、事前に書面で許可を得ることが必須です。
- 人の上空飛行への配慮:屋内であっても人が密集するイベント等では、プロペラガードの装着や飛行エリアの区画設定が安全管理の基本です。
- 電波干渉:金属構造や電気設備が多い環境ではGPS・通信が不安定になります。マニュアルモードでの操縦スキルや、通信安定性の事前確認が不可欠です。
- 保険への加入:万一の墜落・接触事故に備え、ドローン向け損害賠償保険への加入を強く推奨します。
夜間・屋内飛行の主な活用シーン
許可と安全対策をクリアした夜間・屋内飛行は、多様なビジネス現場で活用されています。
1. インフラ・設備点検
夜間に停止する生産ラインや橋梁・鉄塔を点検する場合、日中の業務を止めずに作業できます。工場や倉庫の屋内点検でも実績が増えています。
2. 夜間イベント・エンターテインメント
花火大会や音楽フェスのライトショー、スタジアム演出としてのドローンライトショーは、夜間飛行の代表的な活用例です。複数機によるフォーメーション飛行で、迫力ある映像表現が可能です。
3. 警備・監視
夜間の施設周辺パトロールや、侵入検知システムと連携した自動巡回など、セキュリティ用途での需要が拡大しています。サーマルカメラ搭載機との組み合わせにより、暗所でも高精度な映像取得が可能です。
4. 農業(夜間農薬散布)
農薬散布は日中の高温・強風を避け、夕方〜夜間に行うケースが増えています。農薬散布ドローンの夜間運用では、薬剤の揮発を抑えられるメリットもあります。
5. 映像制作・広告撮影
夜景や夕焼け、ライトアップされた建築物の撮影など、日中とは異なる映像表現のために夜間飛行の需要は増加傾向にあります。映画・CM・不動産PRなど、幅広いジャンルで活用されています。
6. 屋内展示・体験イベント
商業施設やショールームでの製品PRフライト、学校・研究機関でのデモンストレーションなど、屋内飛行を活用したエンゲージメント施策も注目を集めています。
許可取得から運用までのステップ整理
- 飛行計画の確認:飛行日時・場所・目的・機体を確定する
- 必要資格の確認:操縦者の技能証明区分・限定解除の状況を確認する
- 機体の認証状況確認:型式認証・個別機体認証の要否を確認する
- DIPS 2.0で申請:飛行開始予定日の10開庁日前までに、不備のない申請書を提出する
- 安全装備の準備:灯火・プロペラガード・保険等を手配する
- 飛行前ブリーフィング:現地の気象・障害物・緊急手順を関係者で共有する
まとめ
夜間飛行は国土交通省への許可・承認と適切な安全対策が必要ですが、条件を満たせばインフラ点検・警備・農業・映像制作など多様なシーンで強力なソリューションとなります。屋内飛行は航空法の枠外ですが、施設管理者との連携と安全管理が成功の鍵です。
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